Exhibition

展覧会情報

ひみつきち

中嶋純花

場所: コラージュプリュス
会期: 2024-11-12(火) ~ 2024-11-17(日)
時間: 12:00-19:00
最終日17:00まで

展覧会内容

中嶋純花は、原風景を探究する日本画家である。原風景とは、人の心の奥にある原初の風景を指し示す言葉で、生まれ育つ場所や記憶に残る体験によって人それぞれ異なる様相を持つものである。
今回の展覧会タイトルにもある『ひみつきち』という言葉からは、それぞれが隠し持っている幼少期の記憶を彷彿とさせるが、彼女にとってのそれは川辺で開かれたたった一人の空間だった。そこではお皿を広げておままごとをしたり、草むらに生えている草木をスケッチして遊んでいたという。当時と比べて変わったことはあるか聞いてみると、本人曰く「あんまり変わっていない」らしい。目の前にある対象を観察して写生すること、自分の表現と真摯に向き合い続けることはブレることのない軸として変わらずにある。描く彼女の胸の内には、私たちが知りえない『ひみつきち』が持続している。

今回出展する平面作品は、幼少期の記憶を頼りにクレヨンで描かれた空想的なイメージと、写生をもとに描かれた現実的なイメージが交差している。手捻りの粘土で作られた器も空間に配置され、会場は一つのインスタレーションとなり来場者を待ち構える。しかしながら、不特定多数の人間が足を運ぶ展示会場は、彼女にとっての『ひみつきち』といえるだろうか。いや、恐らくいえないだろう。人目にさらされた空間や作品は、もはや彼女だけのものではなくなっている。もしもこの会場にあるのだとしたら、彼女が描いた風景によって貸し出された私自身の記憶、すなわち来場者それぞれにとっての『ひみつきち』だろう。

(文:谷口雄基)

アーティスト詳細

私の活動は、日本画を通して多くの人にとっての原風景を届けることを目的としています。過去の作品には、故郷を離れ生活していく中で生まれた”故郷への懐かしさ”を求めて描いたものや”故郷の風景と目の前の風景が重なる瞬間”をテーマにしたものがあります。基本的な表現方法は、岩絵の具や箔、膠などの伝統的な日本画材を使用し、近代以降の日本画における自然観に基づいた写生感をもって描いています。

個展「ひみつきち」では幼少期の記憶をもとに一人で作り出す創造の空間をテーマにしました。新しい挑戦として、クレヨンや粘土を使った表現や河原や公園で見る”子供たちの遊んだ形跡”をヒントにしたインスタレーションを取り入れています。この展示の準備期間は、 草むらの中のひみつきちで空想にふけっていた頃の創造性を思い出しながら制作しました。 とても小さな視点から描き出す世界は新鮮で純粋に楽しかったです。あの頃の自由さやおおらかさと今の私たちは何が違うのか、もしくは何も変わっていないのか、そういうことを感じられる展示になればと思います。

【経歴】
2023 京都芸術大学美術工芸学科日本画コース 卒業
現在 京都芸術大学大学院芸術専攻美術工芸領域日本画分野 在学中

○受賞歴
2019 第19回佐藤大清賞公募美術展 日本画の部 入選
2023 2022年度京都芸術大学卒業展 優秀賞
2023 第78回 春の院展 入選
2023 再興第108回 院展 入選
2024 第79回 春の院展 入選
2024 再興第109回 院展 入選

○主な個展
2022 「ハナパレード」友愛診療所/京都府
2024 「わたしの故郷で展覧会をします。」浜町ギャラリー/京都府

○主なグループ展
2019 「現代っコ展」同時代ギャラリー/京都
2021 「Re.」スリースター京都/京都府
2021 「同時代展」同時代ギャラリー/京都府
2023 「春うらら 顧洛水と仲間たち」ちいさいおうちギャラリー/京都府
2023 第13回上賀茂神社アートプロジェクト 上賀茂神社/京都府
2024 「彩iro –日本画×音楽-」錦鱗館/京都府