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2021.03.16 展覧会アーカイブ, 同時代ギャラリー展示

外出武装

【外出武装】
会期:2021年3月16日(火)〜3月21日(日)
時間:12:00〜19:00(最終日は17:00まで)
会場:ギャラリー

 

 

 

 

 

作家・貴志在介、菊池ルイによる展覧会です。
ギャラリー空間全体をつかったインスタレーション作品です。
※入り口がすこしわかりづらいのですが、左側からお入りいただけます。

 

 

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この一年、昨年から続くコロナ禍で、作品の発表の場を失った作家も少なくない。外出が出来ず好きなアートを見ることもできない。それは身近なアートが身近だったアートに変わった瞬間でもある。その変化は、わたしたちのアート活動にも表れている。わたしたちは昨年アーティスツユニオンという団体を作家4人で立ち上げたが、そのタイミングはコロナ禍によって日本全国の展覧会や個展などの中止が相次ぐ最中であった。
そのような中で、「アートに何ができるだろう?」という疑問があり、「この状況下で展示を変わらずに続ける意義、アートを通して人が関わり、繋がる状況を作り出せないか」、といった思いがあった。そしてわたしたちは二つの展覧会を企画した。一つは8月に「Exhibition of the Artists living at this moment」(通称:モメント展、同時代ギャラリー)、10月に「密展」(同時代ギャラリー)。共に作品で空間を満たし、人が密になれないのであれば作品で密になろうという思いで行った展示だった。モメント展では100点を超える小作品が集まり、一カ月間に及ぶ展示を行った。密展ではさらに大きな規格の作品も含めた100作品を集めた展示となった。
その後、同時代ギャラリーからアーティスツユニオンのメンバーの貴志と菊池に新たに企画をしてくれないかとの話がきた。そこで新たな企画を考えた結果、今回は二人で展示してはどうかという結論になった。そして、今回のプロジェクトがスタートした。

当初の展示企画は、菊池のドローイングと貴志の立体を組み合わせたインスタレーションなどを考えていた。材料も買い、実験をしている最中、「ほんとうにこのまま進めていいのだろうか?」という疑問が湧いた。そこで、一度ちゃぶ台を返し一から考える。それはまず、これまでの既存の自身の作品イメージに捕らわれないこと、いい意味でフラットな状態で作品を考えること。色々と話し合っていく中でもちろんコロナ禍の話にもなり、菊池からクローゼットという言葉が飛び出した。貴志は昨年に自殺を遂げた二人の俳優が脳裏によぎった。クローゼットはコロナ禍の閉塞感を表す一つのイメージにも繋がるかもしれない。しかし、外出するときには服を選ぶ場所でもある。服を選ぶということに少なからず希望を見い出し、また眠っている服たちはいつか外に出られることを願ってじっと待ち続けている。昨今のコロナ禍の状況を語る上での一つの象徴として、またそもそも人間社会全体が隠し持つ閉塞感にも似る両局面を映し出すものだと感じた。
そこから更に色々な話が飛び交う。言葉から言葉が生まれ、イメージからイメージが湧く。結論には到底及ばず、沈黙が続くこともある。しかしその沈黙は新たなイメージを生むためのもの。相手の新たなイメージが深く自身に降りかかり、相手から放たれる言葉からイメージを更に膨らませる。そのような途方もないイメージと言葉の集積の中で、また一つ、迷路のように出口のない、何も見えない道が続くイメージができあがった。そこには人生の縮図のような面と現代社会で疲弊するわたしたちの、それでも進まなければならないという焦燥感があり、非常に複雑な心境があった。決して人生の道は明るくない。どちらかと言えば、人生は辛いことの方が多い気がする。でもだからこそ光が射すものだろう。その光を求めて「ちょっと出かけてみようかな。」そんな言葉こそが世界への扉であり、その扉は無限の可能性を秘めている。ただ無防備で外に出るのは危険だ。内側に籠もって世界を見つめるより、少し武装してそっと外に踏み出してはどうだろうか。

武装という言葉は単に感染防止や、身なりを装うだけではなく、現代社会に毎日踏み出す私たちの心情の意も含めた、この世界の合理と非合理が生む背反した景色です。是非一度お越しくだされば幸いでございます。

〈貴志在介 / Kishi Arisuke〉
1983 京都府に生まれる
2008 京都精華大学卒業
個展
2013 貴志在介~言の葉いずる表情者たち~/ギャラリー自由空間
2015 KISHI Arisuke Solo exhibition -The tribe-/同時代ギャラリー
貴志在介 -uneven- 展/京都ギャラリー悠玄
2017 貴志在介写真展-だーれだ。- /ART FORUM JARFO
Metamorphose -この醜くも美しい世界- /同時代ギャラリー
2019 メメントからモメントへ モメントからメメントへ /同時代ギャラリー
2020 Dimension-outdoor installation / ギャラリーヒルゲート 2021 NAMELESS/京都ギャラリー悠玄
公募展・グループ展歴
LINK展/京都市美術館(2004~2017年まで毎年出品)
京展 彫刻部門(2005、07、09、13、17)、版画部門(2013)
EAST-WEST ART AWARD2015/La Galeria/ロンドン(2015)
DIESEL LIVINGINSTALLATION THE WALL by GENETO Architect’s/東京渋谷DIESEL(2017)
第4回藝文京展/京都芸術センター(2018)
Kyoto Art for Tomorrow 2020、2021ー京都府新鋭選抜展ー他

〈菊池ルイ / Kikuchi Rui〉
1980年 兵庫県生まれ
2005年 渡仏
2009年 École de beaux-Arts de Versailles 修了 帰国
個展
個展 Connexions (自由空間) 2015
Rui Kikuchi 個展 (Foodies Café NIFTY) 2016
個展 Intersection (同時代ギャラリー) 2016
壁面インスタレーション(The Lower East Nine Hostel) 2017
個展 Multiple exposures (同時代ギャラリー) 2018
個展 Path (ギャラリ想)2020
公募展・グループ展歴
2009年よりLink展 (京都市美術館他)に参加
Non conquest 展、Tokyo-To展、Lamp展他 (Art Forum JARFO)
Asia Art Network (韓国、韓電ギャラリー)
Art Rainbow Project 2015(ドイツ、ロストック)
第30回今立現代美術紙展1300展(越前市いまだて芸術館)
Kyoto Art for Tomorrow 2020、2021ー京都府新鋭選抜展ー他