海と海に関わる全てに魅せられ、七宝と木工のそれぞれの良さを感じながら日々制作をしています。

京都での初めての個展となります。ご高覧いただけましたら幸いです。

私にとって、海は心のほとんどです。

物心つくより前から、母がよく連れていってくれた海。

そこには、遊ぶことに本気な大人と ふき抜ける風、底抜けに美しいあおい海がありました。

海をさわり風を感じ、月を見上げて波を枕に眠る夜。

年に一度、ほんの数日のことでしたが、私の心が 海とそこで過ごす時間に魅了されるには十分すぎる日々でした。

以来、海をみるといつも、そこで過ごした豊かな時間や出会った人々、見たものたちの記憶や感触、においまでもが鮮やかによみがえり、私の胸をしめつけます。

大きな幸せをくれた海ですが、ときとして海は 深い悲しみを生むものでもあります。

人智の及ばない自然の脅威を目の前に、なすすべもなく自分の無力さ、ちっぽけさを思い知る。

時代や立場、状況で見える表情が変わる海。

ただそこにあり続けるものだからこそ、目が離せない何かがあると感じています。

そんな海と、海に関わる全てに魅せられ、ひとつひとつ気持ちを込めて制作しています。