Exhibition

展覧会情報

refugia – ?

大角ユウタ
山口京将

場所: ギャラリー
会期: 2025-03-25(火) ~ 2025-03-30(日)
時間: 12:00-19:00
最終日17:00まで

展覧会内容

この度、大角ユウタと山口京将による二人展「refugia – ?」を開催する。本展覧会は、先史時代から脈々と受け継がれる人間の根源的な物語を語る手法を現代に更新する二人のアーティストが、既存の人類史に互いのストーリーを編み込むように会場に新しい物語を立ち上げる。

大角ユウタは、細いテープを壁面に貼り合わせることで物語性を帯びたイメージを浮かび上がらせる。そこには文化的・歴史的背景とともに、大角自身の個人史が織り交ざっており、現代を反映した壮大な叙事詩を空間に創出する。グラフィティやストリートアートの手法の一種とも捉えられるサイトスペシフィックな線の様相は、洞窟壁画まで遡及できる描くことの原点や、地平を頼りに広がり続ける蔦の生命力を彷彿とさせる。

山口京将は、全身を毛で覆われた人面生物を創造する。幼少期に母親から揶揄された「ベランダに人面の鳥がいたよ」という一言が制作の起源となっており、決して到達することのできない記憶の接近を試みている。その作品群からは、ドイツのシュタール洞窟で発見された象牙彫刻のライオンマンをはじめ人間の根源的な物語にまつわる想像力を喚起しつつ、地球外生命体として語られる人面生物が人間と共生する生態系を築くなど異なる種との関係性も示唆している。

本展覧会タイトルにある「レフュジア(refugia)」は、広範囲にわたって生物種が絶滅した環境下で局所的に種が生き残った場所を指している。また、その横に同じく展覧会タイトルとして並置された「?」記号は、かつてフランスの文豪ヴィクトル・ユゴーが著作『レ・ミゼラブル』の売れ行きを心配して出版社宛に出した世界一短い手紙とされている内容「?」から引用されたものである(出版社の返信は「!」であり、当時異例の売れ行きを見せたという)。これらの事柄からは、大きな集団がしばしば抒情詩や噂話などの伝承によって動かされることがあるように、個人や二者関係のような小さな関係性から現在地を紡ぎ直そうとする二人のアーティストの姿勢を読み解くことができる。鑑賞者に差し向かう物語が、誤読をはらみながら広く伝播していくことの意味について共に考えてみたい。

キュレーター・谷口雄基

アーティスト詳細

大角ユウタ
2001年滋賀県生まれ。2024年瓜生山学園京都芸術大学総合造形コース卒業。現在は京都を拠点に活動。「表現の根本的な役割」 や「価値観の形骸化」といったテーマを軸に、文化的、歴史的背景と個人史を織り交ぜて絵画やインスタレーションを制作。主な展覧会に、「ARTISTS’ FAIR KYOTO 2025」(京都国立博物館、 京都、2025)、「ART RHIZOME KYOTO」(京都市役所本庁舎、京都、2024)「Line of Dance Reversal」 (Gallery マロニエ、京都、 2023)など。

山口京将
1999年千葉県生まれ。2022年瓜生山学園京都芸術大学総合造形コース卒業。2024年同大学大学院修士課程美術工芸領域修了。 幼い頃に母親に存在を揶揄された人面の鳥を探し続けた思い出を元に、様々な人面生物を造形することで、決して戻ることが出来ない記憶への接近を試みる。主な展覧会に、「毛づくろい」(YOD Editions、大阪、2024)、「ART@FUKUOKA」(大丸福岡天神店、福岡、2024)、「Rendezvous Fields」(同時代ギャラリー、京都、2024)など。